ガススプリングの基礎知識(役割、特性、測定位置) - バンズバッハ(Bansbach)

ガススプリングの基礎知識(役割、特性、測定位置)

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お問合せ前・ご依頼前に必ずご一読ください。

日本とドイツの基準値の違いなどの重要な項目を含みます。ガススプリング使用上の注意も合わせてご覧ください。ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

このページと同じ内容のPDFも用意しておりますので、必要な方はダウンロードしてください。

ガススプリングの基礎知識(役割、特性、測定位置)

ガススプリングの役割

  • ガススプリングは、自動車のハッチバックや窓の開閉装置など 日常生活の様々な場面で利用されております。
  • モノを持ち上げる時の力を補助するのが主な役割です。
  • 同じ役割を持つ製品では、電動や油圧アクチュエーターが挙げられますが 電源が必要であったり、装置本体が大型であったりします。
  • 1つの部品単体で、重量物を持ち上げるという力(反力)を持つガススプリングは 電源を必要とせず、小型で、メンテナンスも特に不要です。

ガススプリングの特性について(1)

ガススプリングはその特性をうまく利用することによって非常に便利で簡単に お客様の製品価値を高めることができます。ただし特性を理解せずに利用すると 逆に使いづらくなる場合もあり、注意が必要です。

ここでは身近なオフィスチェアーのガスシリンダーで解説します。

※ 実際はチェアー用のガスシリンダーとガススプリングは異なる内部構造です。
  動きに関する参考としてオフィスチェアーの動きで解説しています。

チェアー上昇時のイラスト

上昇時

  • 通常のオフィスチェアー用ガスシリンダーは 300N程度の反力を持っています。
  • レバーを操作することによって、およそ30Kgくらいのモノを持ち上げる能力を持っていることになります。
  • [ チェアーの上物重量 < ガス反力 ] が成立している為に、チェアー上物が上昇します。
チェアー下降時のイラスト

下降時

  • チェアー上物を下げる時は人間の体重を加えながら レバーを操作することによって、ガスシリンダー が圧縮され、チェアー上物は下がります。
  • [チェアー上物重量 + ユーザーの体重 > ガス反力] が成立している為に、チェアーは下げることができます。

つまりガススプリングの重要な特性として、ガススプリングを圧縮させる為には[ガススプリングが持つ反力+圧縮させる為の外力(体重)]が必要となります。

使い方を誤ると、上げることはできても、下げることができなくなってしまいます。

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ガススプリングの特性について(2)

前述の「ガススプリングの特性について(1)」は、ガススプリングが圧縮されるにつれて 内部のガス反力が上昇する特性によって起こります。

窒素ガスが充填されているシリンダー内部の容積がピストンによって 圧縮されることにより反力が上昇します。

この上昇のことをBansbach社では「Progressivity(= 変化率)」と呼んでいます。

Bansbach社では、ピストンロッドとシリンダーの径の組合せ、およびストローク長と全長の数値からおおよその変化率を算出することが可能です。

表中の内部変化率の解説図

内部変化率の計算方法サンプル

"ロック付きガススプリング Kタイプ"のリスト表で解説します。

  • カタログの内(*1)に「内部変化率」という項目があります。
  • 例えば、径サイズ8/19, ストロークを100mmとした場合 それぞれの計算式にストロークを挿入します。
  • 一番上の計算式では、 100mm x 2.73 + 67 = 340mm となります。
  • 結果から、ガススプリングのEL2の長さが340mmの場合は 変化率がおよそ35%になるということを示しています。
  • 同様に計算すると、EL2の長さが294mmの場合は 変化率がおおよそ100%になります。

progressivity_100_per
progressivity_35_per

同じストローク100mmでもEL1の長さによって、変化率がグラフのように変化します。

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ガススプリングの特性について(3)

前述で説明しました「変化率」が具体的にガス反力のどの部分を示しているのかを説明いたします。

一般的にガススプリングには、4箇所のガス反力測定位置があり それぞれF1~F4と呼ばれています。海外のほぼ全てのガススプリングはF1の値をガススプリング製造時の基準としています。

表中の内部変化率の解説図2

解説

  1. 5mm圧縮した測定値を → F3
  2. そのまま圧縮を続けて… ストローク手前5mmの測定値→ F4
  3. 一度完全にガススプリングを圧縮させ、伸び出した5mmの測定値を → F2
  4. 結果から、ガススプリングのEL2の長さが340mmの場合は 変化率がおよそ35%になるということを示しています。
  5. そのまま伸長させて… 伸びきる手前5mmの測定値を → F1

変化率がわかると、F1(基準反力)に対して、F2がどれくらいの反力になるか算出できます。

例えば、ガススプリングの反力が300N(=F1)で、変化率が35%だった場合は、300N X 1.35 = 405N となり、 F2の値はおよそ405Nということを示します。

ガススプリングの仕様を検討する際に、ガススプリングを利用するアプリケーションにとってどのような変化率がよいのかということも、考慮する必要があります。

選定のヒント

表中の内部変化率の解説図2

ガススプリングの角度が常に垂直方向となるテーブル昇降のようなアプリケーションを軽い力で昇降動作をしたい時には 低い変化率のガススプリングを選びます。

表中の内部変化率の解説図2

ガススプリングの角度が垂直方向から水平方向に可変することでガス反力の伝わり方が低下し背もたれが急激な速度でたおれてしまうことがあります。あらかじめ高い変化率のガススプリングを選定すると反力の上昇が大きいのでゆっくりと背もたれを倒すことができます。

グラフのように、F4値がBansbach社のガススプリングの最大反力値になります。主に、F2値+抵抗=F4となりますが、オーダーメイドという特性から、事前にF4に関する値はございません。F4値については、御注文後に完成した製品をメーカーの 専用機で測定する必要があります。測定費用は別途有償となります。詳しくは担当者にお問い合わせください。

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【参考】ガススプリング測定位置について

ガススプリングのガス反力測定位置は 一般的に日本と日本以外のメーカーで若干の違いが発生いたします。

日本と海外の主なメーカーの違い

測定用ストローク長さ 測定用反力位置
主な日本以外のメーカー(Bansbachも含む) 圧縮しはじめの5mmの位置 F1値ほぼ最小になる位置
日本の主なメーカー 圧縮しはじめの10mmの位置 上限と下限値の平均値
日本メーカーと海外メーカーの比較グラフ

海外基準反力(F1値) < 国内基準反力

上記の不等式は必ず成立しますが、どれくらいの差が発生するのかは当方でお答えすることはできません。お客様に決定していただく必要がございます。

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